尿のお悩み
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トイレが近い/過活動膀胱
「トイレが近く、おしっこがもれそうになるので、バス旅行に行けない」「夜2回もおしっこで目が覚めて、寝不足で困る」と言って、よく受診されます。
トイレが近いのは、過活動膀胱の症状です。
*患者数
年齢とともに増えて、40才以上の男女では10人に1人と推定されています。
*原因・症状
加齢または脳梗塞・前立腺肥大などの病気に伴い、膀胱の筋肉が本人の意志に反して勝手に縮んでしまいます。
「おしっこの回数が多い (日中に2〜3時間以内、就寝時に2回以上) 」
「急におしっこに行きたくなる」
「トイレに行くまで我慢できず、おしっこがもれてしまう」
*診断
お腹の上から機械をあてるだけの「エコー検査」で、残尿が増えてないか?膀胱に結石やがんが無いか?を確認します。
※「尿の残りが多い」場合は (ご本人は残尿感を全く自覚されていない方がほとんどです)、過活動膀胱の治療薬は、かえって膀胱を痛めてしまい、よくないです。
※ 尿が近い場合、40代の方でも〝膀胱がん〟が原因のこともあり、クスリを服用する前に「エコー検査」が必須です。
*治療
- 薬物療法 (敏感になった膀胱をリラックスさせます)
- 磁気刺激治療 (ニコウェーブ/着衣のまま座って治療がうけられます)
- 低周波治療(ウロマスター/お腹に機械をあてて、膀胱の神経の働きを調整する)
おしっこがもれる/腹圧性尿失禁
大きなくしゃみをした時や急に走った時に〝おしっこがもれる〟のは腹圧性尿失禁という病気です。
女性の3人に1人が経験しています。
*原因
女性の尿道は短く、さらに尿道を締めるパッキンの役割をする筋肉が加齢や出産によって弱まるためです。
*治療
- 薬物療法 (尿道の出口を締めるクスリを使用します)
- 骨盤底筋体操(肛門をギュッと締める運動)
- 磁気刺激治療 (ニコウェーブ/着衣のまま座って治療がうけられます)
- 低周波治療(ウロマスター/お腹に機械をあてて、パッキンの筋肉を強くします)
- 手術(TOT手術/院長の出身大学である山口大学病院泌尿器科へ紹介いたします)
「テレビでみた体操を数年試したが、改善しない!」とよく受診されますが、尿もれの程度に応じて治療法が選べ、「飲み薬だけで改善する」方が多いです。
すっきり出ない/神経因性膀胱
おしっこがすっきり出ないのは、女性では神経因性膀胱という病気です。
*原因・症状
脳梗塞, 脊柱管狭窄症, 糖尿病, 子宮や直腸の手術などで〝脳→脊髄→膀胱をつなぐ神経〟の流れが途絶え、「おしっこをぎゅっと最後までしぼり出す膀胱の働き」が悪くなる病気です。
*診断
お腹の上から機械をあてるだけの「エコー検査」で、残尿を計ります。
膀胱の壁の厚みや変形、腎臓の腫れを確認します。
*治療
- 薬物療法 (膀胱の出口を軟らかくして、おしっこを最後まで出す作用)
- 自己導尿、膀胱カテーテル (クスリが無効の場合、自分で管をいれる)
※ 悪化すると、膀胱から尿管, 腎臓まで腫れてしまい、腎不全(血液透析)になる場合もあり、注意が必要です。
尿潜血/顕微鏡的血尿
「膀胱がん」かも?
当院では毎年10人〜20人の膀胱がんが見つかり、その95%は『尿潜血』陽性です。
見た目で赤い『肉眼的血尿』と、見た目は透明な『顕微鏡的血尿=尿潜血』はどちらも異常です。
*診断
「尿潜血あり」の場合、顕微鏡で赤血球の数と形を確認し、腎臓由来か膀胱由来かを調べます。
エコー検査で、ほとんどの膀胱がん, 腎臓がんは見つかります。
*膀胱がん
- 早期がんは、入院で内視鏡手術を行います(数日の入院で済みます)。
- 進行がんは、抗がん剤, 放射線療法, 膀胱全摘手術(膀胱を袋ごと摘出し、小腸で人工膀胱を作り、横腹からおしっこを出す)。
※早期で診断するためには、〝目で見えない尿潜血〟の段階で、新しいエコー検査のある専門医への受診がなにより大切です。
尿たんぱく
若い頃から健康診断で「たんぱく尿」を指摘される方は、放っておいた場合、10年後に「血液透析」が必要になるかも?
*慢性糸球体腎炎の経過
*透析導入になる新規患者 38,786人のうち、16.3%が、慢性糸球体腎炎が原因です。
(日本透析医学会/2017年末の慢性透析患者に関する集計, https://docs.jsdt.or.jp/overview/)
*診断
お腹の上から機械をあてるだけの「エコー検査」で、膀胱がんや腎臓がんからでる尿たんぱくでないことを確認します。
専用容器で1日の尿を溜めて「たんぱく」を測り、「たんぱく」が多量のときは腎臓の組織を採取します。
*治療
- 食事療法(たんぱく質制限・塩分制限)
- 薬(副作用の少ない漢方薬など)
- 血圧管理(120/70台まで下げる)
夜尿症(おねしょ)
5~6才を過ぎて、週に1回以上〝おねしょ〟をするのが「夜尿症」です。
6才のこどもの10人に1人が夜尿症と、意外に多い病気です。
*原因
「夜間の尿量が多い」または「膀胱が小さい」タイプの2つに分かれます。
*診断
尿検査、エコー検査 (腎臓や膀胱自体が原因の事もあります)。
自宅で〝おねしょの量〟と“がまん尿量”を測定。
*治療
「夜間多尿型」には尿量を減らす飲み薬。
「膀胱型」にはアラーム療法。改善のない場合のみ、膀胱の筋肉を広げる薬を追加。
※ 最近は〝本人やご家族の心理的負担〟〝一部の症例では大人になっても夜尿が続く〟ことなどから、小学生になっても続く夜尿症には、早めの治療が推奨されています。
※尿の水分をセンサーが反応し音で報知する装置になります。
睡眠中に尿を感知して、尿意でトイレに起きることができるようになり、また睡眠中の膀胱量を増やす
トレーニング方法です。
※基本的に夜尿がなくなるまで行います。使用時は自身でアラームを止めて頂く形になります。
継続することが大切です。終了後通院をお願いする場合があります。